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6月15日リリースされるBS朝日ドラマ『家族法廷』の主題歌を収録した、hinacoのニュー・シングル「帰り道ダイアリー」。“帰り道でつくった”という本作に、彼女が込めた思いとは!?


 アーティストを志すようになったきっかけが、“デビュー前にライヴ・ハウスの階段から転落したこと”という話は本当なんですか?

hinaco:本当なんですよ(笑)。友人のライヴを観に行った時でした。地元の会津若松から上京してきて、大学生をしていた21歳の時なんですが、ちょうど就活の時期で。“何かを伝える職業に就きたいな”って、漠然と思っていたんです。でも、それが具体的にどの仕事なのかがわからなかったので、とにかく片っ端からいろんな仕事について調べたり、人に話を聞いたりしていたんですが、あまりしっくりこなくて。そんな時に、自分の気持ちをストレートに歌詞やメロディにして歌うっていうのが、1番何かを伝えられるんじゃないかなって思ったんです。でも、周りの友だちがみんな普通に就活をしている中、ひとりで「私、歌やる!」って言っても、「え、大丈夫?」みたいな感じで、なかなか1歩が踏み出せないでいたんです。

 そんな時に、階段から落ちたと。

hinaco:(額の上あたりを)12、3針縫いました。“あぁ、人生って本当に何があるかわからないな”って身をもって体験したことで、“もう悩んでいる暇がもったない、歌をやろう!”って決めたんです。その事故があってから、やりたいことをすぐにやらないと気がすまない性格になりましたね。曲をつくりたいと思ったらつくる、ギターを弾きたいと思ったら教えてくれる人を探して弾く…本当に、あの事故は私にとって人生の転機でした。

 “歌をやる!”と決めた時、家族の反対などはなかったんですか?

hinaco:とまどったとは思うんですけど、反対は一切されなかったです。やりたいと思うことをやらせるというスタイルで。まさか私が歌をやるなんて思っていなかったと思うんですけど、「やるなら、最後までちゃんとやりなさい」って言ってくれました。

 事故以前は、音楽活動をしていなかったんですか?

hinaco:高校を卒業する間際の2ヵ月だけ、友達のスカ・バンドに誘われてトロンボーンをやっていたことがあります。もともと無口というか、自分の気持ちを人に伝えることがなかなかできなかったんですが、スカ・バンドでステージに立って、“自分を表現するのって、こんなに楽しいことなんだ”っていうことを知ったんです。きっと、その時の思いがずっと心のどこかに残っていたんでしょうね。それで歌をやろうって思ったんだと思います。

 デビューからちょうど1年を迎えますが、デビュー前と後で、考え方や気持ちに変化はありますか?

hinaco:う〜ん、本質的なところは何も変わっていないです。しっかりしようっていう責任感は強くなってきているんですけど、人間的な意味では何も変わっていないですよ。

 プロデューサーとして一緒に制作をされているイワツボコーダイさんとは、年齢も近いですよね? 意見がぶつかったりすることなどはありませんか?

hinaco:意見がぶつかることは、しょっちゅうです! 「ここはこのメロがいい!」とか「いや、これはダメだ!」とか(笑)。でも、今作(「帰り道ダイアリー」)に関しては、いつもよりダメ出しも少なかったし、そんなにぶつかることもなかったので、どちらかと言うとスムーズに進んだと思います。

 デビュー曲の「泣き顔スマイル」もドラマ主題歌で、その時は台本を読み込んで制作したとのことですが、今回はどのように進めたんですか?

hinaco:今回も『家族法廷』の台本を読んでつくりました。ドラマのテーマに“絆”や“家族”っていうのがあったので、曲もそれに合わせて“絆”をテーマに。ただ、モチーフは“同棲しているカップル”です。同棲していて、恋人が当たり前のように家で待っていてくれたり、ご飯が食べられたり、あったかいお風呂に入れたり…そういう当たり前のことが、実は1番幸せなんだよねっていうことを言いたくて書きました。

 主題歌のオファーをもらった時は、どんな気持ちでしたか?

hinaco:単純にうれしかったです。人生で主題歌を歌わせてもらえる機会なんて、そんなに何度もあることじゃないと思うんですけど、またこうやってお話をいただけて、すごくうれしかったです。

 ドラマを観て曲を聴くとまた印象が違うと思うんですが、hinacoさん自身の中で曲の捉え方に変化はありましたか?

hinaco:曲を書いた時点では、歌詞の♪ここで泣いて ここで笑って♪の“ここ”っていうのは、今自分が東京に住んでいることもあって“東京”をイメージしていたんです。でも、ドラマを観て、家族のことを考えたり、3月の震災があったことで、ミュージック・ビデオを撮影したり、ライヴをさせてもらったりと、地元(福島・会津若松)に帰る機会が多くて。それからすごく変わりましたね。“ここ”っていうのは東京だけじゃなくて、自分が生まれ育った土地、会津若松でもあるんだな、と。本当に、私自身がここで笑って、ここで泣いて育ったんだなっていう思いが芽生えました。

 「帰り道ダイアリー」のミュージック・ビデオは、実家に帰りたくなるようなあたたかい作品ですよね。

hinaco:まさか自分のミュージック・ビデオを地元で撮影することになるなんて夢にも思っていなかったので、すごく不思議でしたね。“頑張ったな、私。ここまできたぞ!”って思いました(笑)。

 (笑)。ちょっと襟を正すような感覚?

hinaco:本当にそうですね。撮影の時に、地元のみなさんに「会津若松の出身なんです」って話したんですが、みなさんすごく親近感をもって応援してくださるんですよ。それを聞いてもっともっと頑張ろうって思いましたし、もっともっと会津若松っていう土地を広められたらなって思いました。正直なところ、住んでいた頃は、“つまらない街だな”って思っていたんです。夜8時になったらお店はシャッターが閉まっちゃうし、遊びに行くところもないし…。東京っていう街が魅力的に見えて仕方がなかったんですが、今回改めて会津若松を観てまわって、“こんなに良いところがあったんだ!”って地元の良さを実感することができました。

 カップリングの「雨あがり」は、爽やかで夏っぽい楽曲です。この曲はどのようにして制作されたんですか?

hinaco:「帰り道ダイアリー」ができあがって、カップリングをどうしようかなと考えた時に、アップ・テンポの曲がいいなと思い、“初夏”をテーマにつくりました。梅雨が明けて、“これから夏がくる!”っていうワクワク感がすごく好きなので、そんな気持ちになれるような曲がいいなぁと思いながら。歌詞のイメージはドラマの『ROOKIES』の土手です(笑)。みんなが悩んで、“くそーっ!”ってあきらめかけるんだけど、でも明日はある…みたいな。“よし!”って立ち上がる感じのイメージですね。

 読者の中にも、いろんなことに悩んでいる人がいると思うので、きっと前向きな気持ちになれると思います。

hinaco:そうなれたらいいな。自分自身もそうなんですけど、落ち込んでいる時って、上から手をひっぱられて「立ちなよ」って言われても立てないんですよね。だから私は、落ち込んでいる人がいたら一緒にしゃがんでる。無理に立たせるんじゃなくて、きっかけを待つっていうか、「大丈夫だよ」って言ってあげるような曲を書けたらいいなと思っているので、「雨あがり」が聴いてくれた人にとって、そういう曲になってくれたらうれしいです。

 もう1曲のカップリングは、「泣き顔スマイル」のアンプラグド・ヴァージョン。ピアノ・アレンジで改めて歌った感想を教えてください。

hinaco:レコーディングが震災の数日後だったこともあって、改めて歌詞を読み直した時に、すごく今の状況に合っているなと思いました。私自身、地元が被災していることもあって、いろいろリンクする気持ちがあったので、より感情を込めて歌うことができました。レコーディングも一発でスッと終わりましたし。

 ピアノの弾き語りに挑戦っていうのはいかがですか?

hinaco:したいですね! 実は練習しているんですけど、なかなかお披露目できるレベルにはなっておらず…。いつかぜひ、やってみたいです。

 楽しみにしています! では最後に、読者にメッセージをお願いします。

hinaco:「帰り道ダイアリー」は、“普段の生活のなんでもない1コマが1番の幸せだ”っていうことを歌っています。自分自身が帰り道でこの曲をつくったということもありますが、みなさんもぜひぜひ帰り道で聴いてみてください!


INTERVIEW:Ai Kishino


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●SINGLE
06.15 On Sale
「帰り道ダイアリー」
hinaco
RZCD-46859
¥1,050(tax in)

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